僕等はここにいる

□浮遊閑話
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3 先生はメイドさん








「・・・・幽霊?」
「似たようなもんじゃねぇの?」



真顔で答えた彼は半透明だった。










初めてアークさんと出会ったのは髪の短くなったルーク様が帰ってきて3日目の夜。


なんとなく出た廊下の窓を、なんとなく開けた。



中庭に見えたのはルーク様と青いチーグル。
何をしているのだろう。

私がぼんやりそれを見ているとルーク様がこっちに気づいた。


その顔を、雰囲気を感じて私は言った。


「どなた様ですか?」


ルーク様がキョトンとした。
私は私で自分の発言に混乱していた。

何を言ってるの自分は、ルーク様はルーク様でしょうに。


でも一人で慌てる私に対して、ルーク様は・・・彼は微笑んだ。


そして綺麗にお辞儀をして見せたのだ。


「初めまして、お嬢さん。アークと申します」


以後お見知りおきを。


その時の彼の笑顔は今のルーク様でもなく、本物のルーク様でもなく。

ヴァン謡将が連れてきた、子供っぽいルーク様のモノだった。








『せっかくお前からいろいろ教わったのにな。死んだら意味ねぇや』
「あら、いいんじゃない?作法なんて相手に自分を良く見せる為だけのめんどくさいモノだわ。女の化粧みたいなものね」
『女のお前がそれを言うか』


私の言葉に彼はクスクスと笑った。



彼と話した日々は私の中で忘れられないモノになっている。

レムの塔で彼が“消えた”と、ルーク様に聞いてからは余計に。



「陛下と公爵様の謝罪シーンは是非見てほしかったわ。土下座する勢いだったのよ?」
『なんだ、土下座すりゃよかったのに。それはさぞ見物だったろうなぁ』


クスクスクスクス笑い合う。



せっかくまた会えたのだ。
朝寝坊してメイド長に怒られてしまうかもしれないけど。


今日は久々の夜更かしをしよう。


「アークさんのお話も聞きたいわ」







『そうだなぁ、何から話してやろうか?』




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